ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
最近日本では、TPP(環太平洋経済協定:注1)への参加ということが、新聞、テレビなどで頻繁に議論されるようになり、自由貿易協定などへの関心が高くなっています。TPPという枠組みでは、話題に上らないインドですが、他方の枠組みであるASEANプラス(注2)では、重要な役割を求められています。TPPではアメリカが自国の主張を強くするであろうといわれていますが、ASEANプラスの枠組みでは、中国が自国の論理を強く主張してくるであろうといわれております。ASEANプラスの枠組みでは、是非インドを入れていただいて、ASEANプラス6という枠組みとし、「日本+インド」対「中国」という形で、議論をリードしてもらったらいいのではないかと個人的には感じています。
さて、ご存知の通り、インドでは、マルチブランド(注3)の「小売」業には、外資法人の参入が認められておりませんでした。いつこの小売分野が開放されるのかという点は、海外のビッグプレーヤーの関心の的であり、常に新聞紙上をにぎわしておりましたが、ついに内閣が小売の開放を決定しました。この後、州政府などの承認を受けることが必要であるとはいえ、インドにとっては非常に大きな決断であると考えます。
インド12億人の小売市場が外資に開放されることのインパクトは甚大であり、最近外国からの直接投資に陰りが見え始めていたインド市場への関心を高めるためのカンフル剤になることは間違いないと思います。外国直接投資の増大を通じて、インド経済の発展のスピードが加速していくと思います。
注1:加盟国間での関税や、政府調達、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおける非関税障壁を原則的に100パーセント撤廃しようという枠組み。
注2:ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟の10か国に、日本・中国・韓国を加えたASEANプラス3や、さらにインド・オーストラリア・ニュージーランドを加えたASEANプラス6という枠組みで、首脳会議等が開催されている。 注3:デパート・スーパー・コンビニなど多数のメーカーの商品を販売する小売業態のこと。これまで外国企業には、現地資本と合弁による、自社ブランド商品だけを扱う直営店(いわるゆ「シングルブランド」)の設立・運営のみが認められていた。
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ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
皆様、インドでは今年もディワリのシーズンを迎えました。ヒンズー教のお祭りのうち最も有名なものの一つです(2011年は10月26日)。伝統的には、家族が集まり、団らんを行うというもので、昔ながらの日本のお正月に近いような印象を受けます。このディワリは、別名「光のお祭り」と言われており、様々な光の装飾がなされます。インドでは近年、日本でもクリスマスシーズンによく実施されている電飾によるライトアップが、この時期にいろんな建物になされます。私の赴任の3年間に、このようなデコレーションが、年々、華やかになっているなと感じています。また、各家庭での電飾の装飾などということも急速に普及しているなと思います。インド個人消費が着実に伸びているということを表している一つの事実と考えています。このようなスタイルは、近いうちに大都市から、中都市に広がりを見せていくだろうと思いますので、こういう事象一つとっても、インドのマーケットとして将来性は非常に大きいなということを再認識いたします。
さて、中国に駐在している日本人駐在員の、中国の社会保障制度への強制加入の問題が様々なところで騒がれている中、日印の社会保障協定締結に向けた第2回の実務者会合が、今月(10月)にデリーで開催されました。インド駐在員につきましては、2008年11月より、インド社会保障制度への強制加入が求められており、インド進出企業にとっては、大きなコスト増要因となっておりました。早急に社会保障協定を締結いただき、日系企業のインドでの活動を後押しいただけることを期待したいところです。
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ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
今年のデリーは、昨年に引き続きモンスーンの雨雲が長期にわたり居座り、9月になっても雨模様のどんよりとした日が続いていました。9月も後半になり、ようやくセカンドサマー到来という感じです。例年通りですと、11月になると徐々に暑さも和らいできますので、今年も昨年同様、少し短めのセカンドサマーとなりそうです。
さて、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、来年2012年は、日印国交樹立60周年を迎えます。計画経済政策を取っていたインドが、1991年より経済自由化に舵をきりました。経済自由化以降、インドの経済は急速な拡大をつづけています。他方、欧米勢、中国・韓国勢などに比較すると、スズキ自動車やホンダの2輪部門など、インドで巨大なプレゼンスを示しておられる会社が存在するものの、現時点では、全体としては日系企業のインドでの存在感は決して大きくはないといわざるを得ない状況と考えます。日本国内で、BRICs、インドと騒がれている印象と、現実とは少し乖離しているのかもしれません。
このような中、今年の8月に、日印包括的経済連携協定(CEPA)が発効いたしました。印韓FTAにその発効時期の点で、1年遅れを取っているものの、内容的には、より広範囲の物品の関税の撤廃などが盛り込まれており、今後の日印間の経済発展を支援してくれるものとなろうと思われます。また、インドの公的社会保障制度への強制加入問題に端を発した、駐在員人件費のコスト増の件につきましても、厚生労働省がインド政府と、社会保障協定の締結に向けた交渉を開始し、年内の決着を目指すとまで言っていただけるようになっています。
政府サイドからの支援も、現実のものとなってきており、日印国交樹立60周年を機に、更なる両国の関係の強化、発展が進むことを祈っています。
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ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
今、インドでは、「汚職防止法案」に関して一人の社会活動家「アンナ・ハザレ」氏が注目を集めています。
ハザレ氏は、政府が国会に提出した汚職防止法案では、汚職の根絶は不可能だとし、同法案の見直しを要求する断食を予定していました。しかしながら、ハザレ氏は「断食」の開始直前の8月16日朝に集会禁止命令違反で逮捕されてしまいます。その夜に釈放が決まったのですが、ハザレ氏は出所を拒否し、拘置所内で断食を開始しました。その後、市内の会場の場所を移して断食を続けています。マハトマ・ガンジー氏がイギリス植民地支配に対抗する手段として用いた「断食」により、汚職根絶を目指しているハザレ氏は、「現代のガンジー」とも言われています。ハザレ氏の断食には多くのインド国民が賛同し、各地でハザレ氏を支持する大きな集会が開催されており、先日デリーでは、約10万人規模の集会も開催されたとのことです。
このような事態を政府も看過できなくなっており、マンモハン・シン首相は、プラナーブ・ムケルジー財務大臣をハザレ氏側の側近との交渉役に任命し、事態の収束を図っています。プラナーブ財務大臣から、法案の内容について交渉の用意があることが、ハザレ氏側に伝えられると共に、断食の中断も要請されています。
他方で、法案の審理は国会で、議論によってなされるべきところ、断食という手段を通じて、国会外で達成を図るというのは、議員制民主主義の否定につながるのではないかなど、ハザレ氏の活動には、様々批判がなされているのも事実です。
インドという社会は、「反対」意見を言うことについては、非常に寛容でおおらかであるということをこの事実を通じて再認識させられています。多様な意見を受け入れることにより、社会がまとまらないことが、インドの弱みとなることもあるかもしれませんが、このような社会に内包している多様性こそが、インドの強みの一つであると確信しています。
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ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
私の住んでいるデリーでは、モンスーン(雨季)が始まり、湿気の多い日が続いておりますが、気温は30度中盤まで下がっています。インドは暑いというイメージをもたれているかもしれませんが、このモンスーン時期になりますと、基本的に日本とほぼ変わらない気候になっています。実際、7月の前半に出張で東京に行っておりましたが、電力不足の影響で、エアコンの設定温度上昇や、エスカレーター停止などの処置が施されている東京よりは、デリーの方が過ごしやすいと感じたくらいです。
さて、ご存知の方も多いとは思いますが、「日印包括的経済連携協定」が、8月1日に発効となります。本経済連携協定が発効することにより、取引金額ベースで、約90%、品目数ベースで約86%の物品の関税が撤廃されることとなります。他方で、発効より10年後に撤廃となる品目が全体の64%程度と多く、即効性という意味では少し物足りないものともいえるかもしれません。インドでは、タイ、アセアン、韓国との間で既にFTAが発効しております。日印包括的経済連携協定は、最終的には、これらの諸国が結んでいるFTAよりも関税撤廃幅が大きく利用価値が高いといわれています。しかしながら、時間を考慮した場合は、これらの国を通じてインド取引を当面進めていくということも合理的となるかもしれません。いずれにせよ、インド進出に関する障壁が小さくなったといえるものであると考えられますので、インド進出済みの企業様、進出を検討中の企業様は、日印包括的経済連携協定の内容をしっかりと確認していただければと思います。なお、日印包括的経済連携協定の詳細につきましては、外務省のホームページに掲載されていますので、ご参照ください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_india/
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ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
インドへの日系企業の進出は、自動車関連の投資が牽引しており、今までのところデリーを中心とした北部地域、並びにバンガロール、チェンナイを中心とした南部地域が主要な進出先となっています。6月16日に、昨年日産が進出し、最近、日系企業の進出ラッシュが続いている「チェンナイ」の商工会の月次例会に参加させていただきました。2011年6月現在で、会員企業数111社を擁する組織となっておられるとのことです。チェンナイ商工会では、様々な分科会を立ち上げられ、ビジネス面のみならず、生活面の情報も含めて様々な情報交換が積極的になされています。また、月次例会に引き続いて開催される懇親会では、より深い(?)様々な情報交換がなされています。チャンナイ投資を検討されておられるのであれば、一度チェンナイ商工会を訪ねて見てください。
さて、2011年5月に通達が出され、外国投資に対しても、LLP(リミテッドライアビリティパートナーシップ)という制度が認められるようになりました。LLPの登場により、駐在員事務所、支店、現地法人という従前のインド進出の選択肢に加え、LLPという選択肢が加えられることとなりました。LLPは、LLPとして法律行為の当事者になれるのですが、通常の会社と比較すると、簡便な組織形態を採用できる、税制上の優遇があるなどいくつかのメリットがある反面、海外からの借入が認められない、上場できない、他の法人への出資が認められないなど制約があるところに特徴がある制度です。インド進出を検討の際には、新たな選択肢の一つとして是非、LLPもご検討いただければと思います。
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ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
デリーでは、通常、5・6月が夏真っ盛りとなり、乾燥していますが、気温は45度超となります。ただ、今年のデリーは例年に比べて、気温が低く、また逆に湿度が高い気候が続いていました。5月に入り、デリーもいつものような夏という日もでてきたのですが、突然雨が降り、最高気温が32.3度まで低下したりしています。30度を超えていると十分に暑いと思われるかもしれませんが、45度の世界から、30度程度まで気温が下がると体感的にはかなり気温が下がったと感じます。人間の体は不思議なものだなと改めて感心してしまいます。
さて、先月インドではいくつかの地方選挙が実施され、5月に入りその結果が明らかになっています。その中で、一つ取り上げたいのが、西ベンガル州の下院選挙です。西ベンガルといえば、東インド会社の所在地であり、英領インドの長期にわたる中心地であったカルカッタ(コルカタ)を州都とする州です。西ベンガルは、歴史的な背景もありかつてはインドにおける産業の集積地でした。ただ、近年は投資誘致がうまく進まず、産業面では停滞しているという印象はぬぐえませんでした。TATA自動車が西ベンガルの工場建設を断念したということも記憶に新しいことです。
西ベンガルでは、長期にわたり共産党政権が続いておりましたが、今回の選挙の結果、中央政府系のトリムナール・コングレス党が下院の過半数を獲得しました。西ベンガルは地理的には、バングラディシュと接しています。バングラディシュ進出の足がかり、もしくは、バングラディシュからインドへの進出など双方の拠点の連携を考えた場合、非常に重要な地域であるとも考えられるところです。西ベンガル州の今後の産業誘致政策には注目していきたいと思います。
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ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
福島原発事故を受け、多くの国で、現在、日本食品の輸入について、様々な制約が課せられております。このような中、インドでも、日本からの食品については放射能検査の対象とするという通達が出されました。当初は、本通達が食材の個人的な持ち込みまで対象とするものだとの判断され、我々駐在員も心配しておりました。この点は、在インド日本大使館のサポートで、本通達は商業輸入に関するものを対象としており、個人が自己消費を目的として持ち込むものについては対象とならないとする解釈が公表されました。様々な情報が飛び交う中で、正確な情報を入手し利用することの大切さをこちらでも感じております。]
さて、インドでは従前、非常に厳しい競業避止条件がございました。インド法人とのジョイントベンチャー(JV)や、技術提携などを過去に実施していた外国法人が、新たに同分野に進出しようとする場合は、そのインドパートナーから、当該外国法人の新規進出に関する同意書を取得し、これを当局に提出することが義務付けられていました。このような同意書の取得は様々な形でのインドへの追加投資や進出に影響を与え、本同意書が取得できないために計画を遅延せざるを得ないという事態に陥るケースも多々生じておりました。このような事態を改善すべく、デリーのインド日本商工会は、大使館と協力して、毎年インド政府に提出する建議書(要望書)において、本件の改正を継続して求めていたところです。
他国の商工会等も同様の要望を行っていたこともあり、ついに、インド政府は、このような同意書の取得義務を撤廃しました(2011年4月1日付)。この改正により、より機動的に、様々なインド投資・進出の機会に対応いただけるようになるものと確信しております。
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2011年4月号
ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
3月11日に発生しました東日本大震災で犠牲になられました方々のご冥福をお祈りすると共に、被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
日本から遠く離れたインド・デリーにおいても、今回の震災は非常に大きく取り上げられており、多くの方から温かい言葉を多数かけていただいております。
既に報道等でご存知の方も多いとは思いますが、外務省アジア大洋州局長を勤められていた齋木昭隆氏が、インド全権大使に任命され、3月6日に着任されました。齋木大使のもとにも、マンモハン・シン首相を初め、各州首相からのお見舞いの言葉が届けられているとのことです。また、シン首相からは、支援を惜しまない旨のコメントも届けられているとのことであり、既に、毛布25,000枚の提供が表明され、16日には、その第一陣が成田に到着しております。復興に向けて、皆で協力して行きたいと強く思います。
例年は、3月の上旬となることが多いのですが、インド、特にデリーを中心とした北部での一大フェスティバルである「ホーリー」が今年は3月20日となりました。赤を中心に、様々な色のついた水を掛け合うお祭りで、知らずにいると、突然びしょ濡れで、真っ赤になってしまうこともあります。このお祭りでのはしゃぎ方を見ていると、インドの人たちのパワーというものをひしひしと感じます。
デリーでは、ホーリーが終わると暑くなるといわれており、これからデリーの本格的な夏が始まります。
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ニューデリー ビジネスサポーター 高野 一弘
こちらインド・デリーでは、寒い冬も終り、日中は半袖で気持ちよく外出できるような気候となってきました。個人的には、一番心地よい季節になったと思っております。このような中、2月の上旬に、橋下大阪府知事が、ミッション団と共にインド・デリーを訪問されました。2月10日には「インド国際産業&技術フェア2011」を視察され、大阪プロモーションセミナーとして講演を行われました。広島県をはじめ、その他の県も、積極的にインドとの連携を模索し、地元への企業誘致、地元企業のインド進出支援などを積極的に検討されている様子で、今後のインドに、多くの方々が、大きな可能性を感じられていることを改めて実感させられます。
さて、日本でも報道されておりますのでご存知の方も多いと思いますが、2月16日に東京で、前原外相とインドのシャルマ商工相が、「日印包括的経済連携協定」に署名しました。速やかに国会での承認を取得した後に、当該経済連携協定が発効することになります。経済連携協定の締結・発効により、現状取引価格ベースで90%を超える取引において、段階的にですが、関税が「ゼロ」とされることになります。今後の日印間の経済関係がますます発展していくこととなる一つの大きな契機になるのではと感じております。人口12億人という巨大マーケットへ進出する方法の選択肢が拡大していると思いますので、しっかり分析いただき、有効に貴社ビジネスに役立てていただければと思います。
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